MENU

RC断面の曲率と回転角をわかりやすく解説

鉄筋コンクリート(RC)構造物の設計において、「曲率」や「回転角」といった言葉は基礎的ですが、実務での具体的な使用場面が少ないために理解が不十分な場合があります。この記事では、RC部材が曲げモーメントを受ける際の変形について、曲率と回転角の意味や関係性をわかりやすく解説します。特に設計初心者や実務で役立てたい方に向けて、基本概念を押さえつつ、構造設計における重要なポイントを解説します。


目次

1. 曲げ変形と円弧の関係

曲げを受けた部材の変形は、円弧の一部を形成していると考えられます。これは部材が完全な円を描いているわけではなく、小さな断片に着目すると大局的にそのように見なせる、という意味です。この「円弧の一部」としての変形を理解することで、部材の曲率や回転角が説明しやすくなります。

実務での応用イメージ

部材が曲げを受けて変形する場合、断面の上部は引張力で伸び、下部は圧縮力で縮むために回転が生じます。この変形の様子を模式的に表したものが以下の図です。例えば片側が固定された梁が曲げを受けた場合、微小な範囲で見ると固定端から離れるに従って傾きが変わっていきます。これが「回転角」と「曲率」の基礎です。


2. 回転角と曲率とは?

回転角(θ)

部材の微小な範囲における傾きの変化を「回転角」と呼びます。これは曲げモーメントが作用することで、断面の一部がある角度だけ傾くことを示しており、変形の程度を直感的に理解する手助けとなります。回転角が大きければそれだけ変形も大きく、見た目の曲がりも急になる傾向があります。

曲率半径(ρ)と曲率(φ)

「曲率半径」とは、部材が曲げで変形した円弧の中心までの距離を指し、曲率半径が小さいほど急なカーブを描きます。一方、曲率(φ)は曲率半径の逆数で、1/ρと表記されます。つまり、曲率は単位長さあたりの回転角を表す指標です。

  • 曲げが大きい(=変形がきつい)場合:回転角が大きく、曲率半径が小さくなる。
  • 曲げが小さい(=変形が緩やか)場合:回転角が小さく、曲率半径が大きくなる。

3. 部材のひずみと応力度の関係

部材が曲げを受けると、断面内で位置によって「ひずみ」が生じます。たとえば、断面の図心から距離yyyの位置にある点のひずみを求める場合、図形的な相似の関係から次の式が成り立ちます。
\Δdxdx=y⋅θ\frac{\Delta dx}{dx} = y \cdot \thetadxΔdx​=y⋅θ\

この式から、ひずみ量をフックの法則に代入することで、応力度 σ\sigmaσ と位置 yyy の関係式を得ることができます。この応力度は、断面の外縁部で最も大きくなるため、最大応力度は断面の外縁の位置に対応しています。

応力度と曲率の関係

応力度と曲率には次のような関係があります。

  1. 曲率が大きいほど、外縁部にかかる応力度が大きくなる
  2. 断面の外縁から図心までの距離が大きいほど応力度が大きくなる

4. 曲率と断面2次モーメントの関係

曲率は「断面2次モーメント」と密接に関わっています。断面2次モーメント(I)が大きいほど、部材の曲げ剛性が大きくなるため、曲率半径(ρ)も大きくなります。これにより、部材は曲げに対して変形しにくくなり、曲率(φ)は小さくなります。曲げ剛性が大きい⇒曲率半径が大きくなる(変形が少ない)\text{曲げ剛性が大きい} \Rightarrow \text{曲率半径が大きくなる(変形が少ない)}曲げ剛性が大きい⇒曲率半径が大きくなる(変形が少ない)


5. まとめ:曲率と回転角のポイント

  • 回転角:曲げによる部材の傾きの変化量
  • 曲率半径(ρ):変形した円弧の中心までの距離。値が小さいほど急なカーブを描く
  • 曲率(φ):曲率半径の逆数で、単位長さあたりの回転角を示す

構造力学においては、曲率と回転角は重要な概念ですが、実務での具体的な設計で直接計算されることは少ないかもしれません。しかし、部材の変形特性を理解するための基礎として、これらの概念をしっかり押さえておくことで、部材の耐久性や安定性の評価が行いやすくなります。


付録:曲率や応力度の確認方法

実際の設計プロセスにおいて、部材の変形や応力度の確認を行う際には、断面2次モーメントや部材の断面係数の活用が一般的です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次